リノベーションとは既存の建築物の性能や価値を向上させるために改修することです。
リノベーションには修復、刷新という意味があり、簡単にいうと、既存の建築物（中古物件）に改修を加え、間取りや配管を工夫することで自分好みの家にしたり、家族の増減などで暮らしやすい住まいに作り替えたりしたい場合などに活用されます。
コンバージョンは建物の解体・建て替えをすることなく、既存の構造躯体を利用しつつ、新しい用途の建物へ生まれ変わらせる手法で、つまりは“用途変更”です。
既存の建築物の用途を変更するための手続きや既存建物をリノベーションして付加価値をつけ、用途を変えて新しく甦らせ使用することを指します。
既存建物の構造躯体など使用可能な部分は生かして再生させるため、地球環境を配慮した建築のあり方として注目されており、低コストで済み、建て替えに比べて工期が短いことも魅力の一つです。
日本の場合、コンバージョンというと、利便性のよい立地に建つオフィスビルで、空きが目立つ物件にて採用されるケースが多いようで、オフィスビルはもともと内部の間仕切りが少なく、窓ガラスも大きく取ってあることが多く、用途変更は自由度が高く、比較的コンバージョンしやすいと言えます。
他にも賃貸事務所だった建物を集合住宅に用途変更する例が多いようで、建物の使用目的が変更されるかという点に違いがあり、コンバージョンもリノベーションの一種と言えます。
採算が取れなくなった賃貸オフィスを集合住宅などの住居系に用途変更することで、採算が取れるようになることは大きなメリットですが、オフィスが住居系に生まれ変わることで、空洞化した都心の一等地に人を呼び戻すという効果も生んでいます。

コンバージョンを選ぶ要因周辺ですが、環境の変化や社会環境の影響を受けてニーズが変化していて、オフィスビルや社宅を賃貸マンションに変えたり、企業の独身寮を女子専用学生会館やシェアハウスに変更するなどが代表的な事例で、
最近ではオフィスビルをビジネスホテルへ変更したり、郊外の大型高機能倉庫に顧客を奪われた都心の中小倉庫を賃貸マンションや天井の高い独創的なオフィスに転用するなど様々なマッチングがおこなわれています。
変わった事例もあり、廃校した学校を宿泊施設にしたり、米穀倉庫として使われていた土蔵造りの建物を、歴史資料館や観光物産館にしたりなどもあります。
元の雰囲気や風景は残したまま建物内を少しリノベーションして古き良き時代の物も残し今風に使ったり、昔通っていた学校の雰囲気で宿泊施設だと、幼いころに戻った気分で泊まれるので楽しいですよね。
最近は周辺の人口動態に変化が大きく、高齢の方が多くなり住宅や大型施設などが使われずそのまま放置される事が最近でも増えてきてます。
最近建物の所有している存在価値そのものが変わってきており、これまでとは異なる用途に変更することで既存の建物に新たな機能や価値をつけ、収益性を高められる場合にコンバージョンが効果的です。
コンバージョンはリノベーション同様に既存の建物を活用できるので、工事費用が安く済み、工事期間も短いというメリットがあります。
また、古民家レストランのように、再利用することで「古さ」を付加価値として経営の助けにする事例もあります。
新しく建築する事もいいとは思いますが、古き良き建物をコンバージョンして別の物として再利用するのもコスト的にも良いですし、環境にも良いと言えます。

特殊建築物とは特殊な設備・構造を持った建物のことで、建築基準法では、学校、病院、劇場、百貨店、公衆浴場、旅館、共同住宅、工場などです。
戸建て住宅、事務所などは特殊建築物ではありません。
特殊建築物は建築基準法により、立地条件、内装、防火や避難のための基準等が一般の建築物よりも厳しくなることがあり、構造・設備が特殊で不特定多数の人々が利用するため、一般の建築物よりも火災が発生する可能性が高く、老朽化や避難設備の不備などによって大きな事故や災害につながるリスクが高いといったことが考えられているためです。
特殊建築物の所有者は、調査資格者に定期的な調査・検査をしてもらい、その結果をもとに建物のメンテナンスや維持管理を行う必要があります。

特殊建築物のうち、規模や高さが一定の条件を満たすものを「特定建築物」といいます。
厳密にいうとその定義は、建築基準法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律（通称：ビル管法）、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律（通称：バリアフリー法）などといった法律ごとに異なり、そういった国の基準にプラスして自治体ごとに基準が設けられていることが多いため、特定建築物に該当するかどうかは自治体によって異なります。
また、安全設備に不具合が無いかどうか確認するための検査項目自体は特殊建築物と変わりませんが、特定建築物は国へ定期的に検査の報告する義務があるという点でも違いがあり、建築基準法12条によって定められ、「定期調査・検査報告制度（定期報告）」といわれるものです。

特殊建築物とは何かお話してきました。
なので、国内で行われた特殊建築物のコンバージョンの事例を何点か紹介していきます。

旅館：旅館としては引き取り手がなく困っていたのを、昨今不足しているとされる高齢者向けの福祉施設に用途変更し、内装をリノベーションして使用しているそうです。

学校：廃校になった校舎を宿泊施設にして、給食の時間をイメージにした食事、25ｍプールを活用した温泉等、子どもの頃を思い出し懐かしさを感じられる雰囲気にし、広さがあるので大人数でのグループ旅行にも最適です。

倉庫：農業用の倉庫をレストランにして、倉庫の広さを活かし開放感のあるつくりで、建物の周りには畑が広がり、畑や自然を感じながら食事ができる開放的なレストランに生まれかかわりました。

百貨店：百貨店を美術館にして、3～9階の駐車場部分はそのまま活用し、構造躯体に問題なく耐震補強等も不要だったため工事費は比較的安価なり、街の新たなランドマークにとして賑わいを取り戻したり。

工場：工場を庁舎にして、中心街に位置していたためアクセスも良く、敷地が広大なので駐車場の駐車可能台数も十分で、既存の建物を利用することでコスト削減になりました。

このように、用途の幅が狭いように見られる特殊建築物でも、コンバージョンによって様々な方面で成功した例は多くあります。
しかし、それぞれ建物によって避難の考え方、求められる採光や換気などの環境的な性能が違うので、コンバージョンをする場合それぞれの用途に合わせた環境対策や安全対策が必要となります。

まず、対象の建物が用途変更の手続きが必要かの確認をしてください。
その建物をどう使うかによって構造や設備の安全基準が異なるため、手続きが必要になる場合があり、申請をせずに建物を新たな用途で使うと法律違反になりますのでご注意ください。

以下の2つのパターンの場合、用途変更の手続きが必ず必要です。

（1）既存の建物の用途を「特殊建築物」へと変更する場合
「特殊建築物」へ建物の使い方を変える場合であっても、元々の使い方が新しい使い方と似ている場合（例：映画館を劇場やコンサートホールにする）、手続きは必要ないこともあります。
用途の分類については、建築基準法施行令第137条17で定められています。

（2）用途を変える面積が200m²を超える場合
展示場の一部を倉庫として利用するなど、用途を変える面積が200m²に満たなければ手続きは必要ないとされています。

用途変更の手続きが必要かどうかは状況によっても異なってきます。
もし用途変更の手続きが必要なかったとしても、その建物が新しい使用目的の建物として構造や消防設備などの面で安全基準を満たすためには建築基準法を守る必要があるので、念のため建築士に調査を依頼すると良いでしょう。
自身では判断できない、わからないと思われたとき、建物の所在地の役所や土木事務所の確認申請を担当している部署に行って確認することをオススメします。

手続きに
必要な書類は何かとどのように工事し完成に至るのか、簡単にですが流れを説明します。

『見積り・契約』
用途変更が可能であることが確認出来たら、見積もりを取ります。
用途変更は確認申請が必要であるため、建築主本人が直接申請する場合を除いて、建築士事務所に所属する建築士以外の人が代理で手続きすることはできませんので注意してください。
建築士に出してもらった見積りに納得できれば契約という流れになります。

『確認申請図書の作成、申請』
確認申請書、設計図書を作成します。
確認申請書は建築物が建築基準法や条例に適合しているかを確認するための書類で、役所や建築確認検査機関に提出します。
書類が完成したら民間機関や自治体への申請を行ってください。

『着工・工事』
確認申請済証、もしくは用途変更済証を取得すれば、解体工事などを除き新規用途の工事に取りかかることができます。

『竣工検査・完了検査』
工事施工者と管理者である建築士によって最終確認が行われます。
工事完了後は、所轄消防署の消防検査を受け、地方公共団体や建築指導課に工事完了報告を提出します。